ニューカレドニアでのサメのリスク

flèche bas

 

多くの南の島と同様に、ニューカレドニアでは人間とサメが仲良く共存しています。最近サメに襲われる事例が発生し、観光客の間に不安が広がっていますが、本来サメが襲ってくることは非常に稀で、きちんと予防策を講じてさえいれば、安心して海水浴を楽しむことができます。さらに遊泳区域の安全を確保するため、地元当局が様々な規制を設けています。
これらの規制をきちんと守ることにより、世界最大のラグーンと素晴らしい生物多様性を思う存分楽しむことができます。

ニューカレドニアのサメによる被害

フランス開発研究所(IRD)の最新の研究によると、1958~2020年にニューカレドニアでサメが人を襲った件数は67件、そのうち死亡事故は13件です。襲われたのは殆どがダイバー(58.5%)、次いで海水浴客(18.5%)、その他の水上スポーツ(14%)と続きます。地元当局はサメの監視を強めており、サメが頻繁に現れる海岸にサメ除けネットを設置するなど様々な予防策を講じ、安全の確保に努めています。

しかし、自然の脅威による事故全体を見てみると、サメに襲われるのは極めて稀だということがわかります。さらに、フロリダ自然史博物館がまとめた統計によると、1580年以来、ニューカレドニアでサメが人を襲った件数(人がサメを挑発したなどのケースは除く)* は世界で13番目の多さですが、オーストラリアの691件、南アフリカの260件、ハワイの179件と比べると格段に少ないのです。

また世界的な海洋開発によって、サメたちがより良い環境を求めて移動し、その結果保護されて豊かな環境が整っているニューカレドニアのラグーンへやってくることも事実です。ですから、私たちが普段から「リスクのある行動」を取らないということが非常に大切です。「リスクのある行動」とはつまり、サメを驚かせたり、サメの縄張り意識を刺激したり、人がサメの獲物であると混乱させるような行動の事です。
 


ご存知でしたか?サメに襲われるリスクを過剰に恐れる必要はありません。世界中でサメに襲われて亡くなる人は年間10人にも達しませんが、ワニに襲われて亡くなるのは1000人、犬による死者数は2万5千人、そしてなんと蚊に起因する死者数は80万人にも上るのです!

Requin Nouvelle-Calédonie
Corail plongée Nouvelle-Calédonie
Tortue plongée Nouvelle-Calédonie

 

いつ、どこで安全に泳ぐことができますか?

サメによる被害の発生状況について収集されたデータから、ほとんどのケースにおいて人間がサメのいる場所で危険な行動をとることが原因となっていることが分かっています。この生物と安全に共存することは、特定の簡単な基本的ルールを守ることにほかなりません。特に、サメの脅威により遊泳が推奨されていない場所を避け、1日のうちでも、危険性のある特定の時間に水中に入ることを避けてください。

 

ニューカレドニアで泳げる場所

ニューカレドニア当局は、常にサメを監視するために、定期的なパトロールを実施し、遊泳を避けるべきビーチに関する情報をビーチに行かれる皆様に提供しています。これらの場所では、遊泳はお勧めしません。

•港やボートが係留されている湾やマリーナの近く

•排水溝パイプや河口の近くの海流が激しい場所

•ヌメアのヌヴィル半島周辺

もっと安全に泳ぎたい方には、監視対象となっているビーチをお勧めします。これらのビーチでは、フラッグを使って安全性をお知らせしています。

•緑色の旗:監視中で、特定の危険はありません。

•オレンジ色の旗:監視中ですが危険です。

•赤色の旗:水泳は禁止されています。

ヌメアのシトロン湾アンスバタのビーチには、12月から2月末までの毎日、および4月、9月と11月の学校の休暇中、さらに上記期間以外のすべての連休となる週末の間、午前9時30分から午後5時30分まで、ライフガードが常駐しています。さらに、ヌメア周辺の制限海域(シトロン湾、アンスバタ、マジェンタ)では、定期的にドローンを使用したパトロールが実施されています


12月6日(水)より、ヌメアのビーチでの遊泳が一定条件のもと解除。 

詳細はこちらをご覧ください


Baie des Citrons Nouméa Nouvelle-Calédonie

 

泳ぐのを避けるべき時間帯は?

遊泳が危険な地域に加えて、ニューカレドニアではサメの危険性が高まる特定の時間帯もあります。
大雨の後(または高浪やうねりなどの気象現象の発生時)、および日暮れから夜明けまでの時間帯の遊泳はお勧めできません。

 

安心して泳ぐために守っていただきたいこと

•海に食べ物を投げ込まないでください(魚にパンなどのエサを与えないでください)。
•犬と一緒に泳がないでください。
•釣りや漁をする方は、島の近くや海水浴場のボートの係留場所や停泊地の海に魚を投棄しないでください。
•魚をベルトなどにぶら下げて泳がないでください(釣りや漁をされる方)。
•お一人で、各種ウォーターアクティビティ(カイトサーフィン、スキューバダイビング、ウィンドサーフィンなど)に参加しないでください。

サメと遭遇した時の対処方法

サメと目が合ってしまったら、まずは落ち着いて、サメから目をそらさないようにしましょう。また、サメに背中を見せないでください。サメが近づいてきた場合は、硬いもの(シュノーケル、マスク、フィンなど)を差し出して、サメに触れさせるようにしてください。差し出したそれらのものを食べられないと判断すれば、サメは去ってくれる可能性があります。

その他のヒントとアドバイス(外部サイト:Waval.net

 

2013年以降にニューカレドニアで保護されているサメの種類

生物多様性の保全は、ニューカレドニア地域に暮らす人々のDNAに根付いた活動といえます。サメは、カナックの伝統と生態系のいずれの面においても重要な役割を果たしています。サメは常にカレドニアの環境の一部であり、人々とサメは調和して一緒に暮らさなければなりませんでした。サメは超捕食者であるがゆえに繁殖率が低く、世界中の生物の中でも特に弱い立場にあって絶滅の危機に瀕しており、人間による乱獲でますます脆弱な立場に追いやられています。2013年以降、ニューカレドニアでサメが保護の対象として認定されているのはこれらの理由によるものです。当局による一時的な「サメの試験捕獲」を除き、サメの捕獲、輸送、売買、部位ごとの切断、保持、さらに全部または一部の消費は、すべて禁止されています。 
1.    繁忙期におけるヌメア湾のパトロールと監視
2.    サメの餌付けの禁止
3.    サメの動きを追跡するための「ハイドロフォン」タグの使用
4.    サメを海に追い返すための措置
5.    サメが出没した場合、遊泳区域を一時閉鎖
6.    過剰に繁殖した種または差し迫った危険を示す種を規制するための定期的な駆除

 

ニューカレドニアではどんな種類のサメが見られますか?

ニューカレドニアに関して言えば、「サメ」は実際、多種多様な種類を含む広く一般的に知られる用語です。生物学者は49種類のサメを特定しましたが、その多くはこちらから手を出したり、邪魔されたりしない限り、人間に危険を及ぼすことはありません。この習性は、シュノーケリングやスキューバダイビングの際によく見られるほとんどの種類のサメに当てはまります。(外部、英語サイトに移動します)
ツマグロ
ネムリブカ
レモンザメ
オオテンジクザメ
オグロメジロザメ

ラグーン内でのサメの活動は、地方自治体や環境団体が実施する各種の調査対象となっており、これらの調査からサメが生息する主な地域を特定し、標識を使用して遊泳を楽しむ方々にあらかじめ危険な場所を案内しています。
アオザメ、イタチザメ、シュモクザメ、ホオジロザメなど大型の種類は、バリアリーフの反対側のさらに外側で発見されるため、ラグーンに侵入することはめったにありません。イタチザメによる被害が何件か報告されていますが、自然界で人間は彼らにとって捕食の対象ではありません。オオメジロザメの中には海岸近くの地域を生息地にしている個体もあり、人間に対して攻撃的になる傾向があることから、より警戒する必要があります。
これらの勧告を守り、最低限の警戒心を忘れなければ、安心してニューカレドニアの海を楽しむことができます。ユネスコの世界遺産に登録されているラグーンと、その素晴らしい生物多様性を存分に楽しめる機会を逃すなんて、もったいないですよ!

Requin léopard Nouvelle-Calédonie